NocoDBは、あらゆるデータベースをスマートなスプレッドシートに変えるオープンソースのノーコードプラットフォームです。
NocoDB is an open source #NoCode platform that turns any database into a smart spreadsheet.
NocoDB | Turns your SQL database into a Nocode platform. Free & Open Source.
オープンソースなローコード、ノーコードのレビュー第4弾です。
NocoDBは以前ご紹介したBaserowと同じく、オープンソースのAirtableの代替を主張しています。
ソースコード
https://github.com/nocodb/nocodb
公式デモ動画集
https://nocodb.com/demos
特徴
NocoDB公式ドキュメントでは以下のようなところを特徴に挙げています。
豊富なスプレッドシートインターフェイス
- 基本操作:テーブル、列、および行の作成、読み取り、更新、および削除
- フィールド操作:列の並べ替え、フィルター、非表示/再表示
- ビューの種類:グリッド(デフォルト)、ギャラリー、フォームビュー
- ビューへのアクセス許可の種類:コラボレーションビューとロックされたビュー
- 共有ベース/ビュー:パブリックまたはプライベート(パスワードで保護)
- バリアントセルタイプ:ID、LinkToAnotherRecord、Lookup、Rollup、SingleLineText、Attachement、Currency、Formulaなど
- 役割のあるアクセス制御:さまざまなレベルでのきめ細かいアクセス制御
ワークフロー自動化のためのAppStore
- チャット:Slack、Discord、Mattermostなど
- Eメール:AWS SES、SMTP、MailerSendなど
- ストレージ:AWS S3、Google Cloud Storage、Minioなど
プログラムによるアクセス
- RESTAPI
- NocoDBSDK
スキーマの同期
NocoDB GUIの外部で変更を加えた場合は、スキーマの変更を同期できます。
監査
NocoDB GUIの外部で変更を加えた場合は、スキーマの変更を同期できます。
個人的に良いなと思うところ
その他、個人的に良いなと思ったところは「日本語」対応されている点です。類似ツールで一番有名なAirtableでもまだ日本語に対応していません。
母国語に翻訳されたツールは慣れている分、いちいちドキュメントを参照しなくても直感でさわれるところが多いです。
これからノーコードを使い始めようとしている方なら、少しでも初めのハードルが低いもの選んだ方が労力を下げることができ良いのではないかと思います。
使ってみる
簡単なアプリケーションを作ってみます。今年の1月から施行されるはずであった「電子取引」に関するデータ保存の義務化*に対応した簡易アプリを作ります。
*細かい要件がいろいろありますが、電子でやり取りした領収書等は紙ではなくデータで管理しなさいという内容です。
参考:https://mirasapo-plus.go.jp/hint/17457/
作成物概要
電子的に授受した取引データをデータで保存します。
データ保存時の要件には
- システム概要に関する書類の備え付け
- 見読可能装置の備え付け
- 検索機能の確保
- データの真実性を担保する措置
があります。
「1.システム概要に関する書類の備え付け」と「2.見読可能装置の備え付け」はシステムの外の内容なので割愛します。
3.検索機能の確保
「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できることを要求されています。検索できるようこれらの内容を取引データと一緒に保存します。
データの構造は↓のような感じで作ります。
4.データの真実性を担保する措置
データの改ざん防止策です。やり方はいくつかありますが、今回はデータの訂正削除の履歴が残るようにすることで対策をとります。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0022001-105.pdf
できたもの
簡単に作成したものの機能を抜粋してご紹介します。
1.データ入力
入力ユーザーへのビューの提供方法は
- 入力ユーザーを作ってアクセスしてもらう方法
- リンクをシェアする方法
があります。
入力ユーザーを作成して入力してもらう方法
データの入力権限をもつユーザーでログインし、入力フォームを開いたところ
リンクでシェアする方法
ユーザーを作成しなくても、リンクをシェアすることでデータを入力も依頼することができます。
リンクをシェアする場合、パスワードをかけることもできます。
日付の入力
リスト入力
テーブル間のリンクを張ることで、データをリストから選択して入力できます。ここでは取引先を別テーブルにしているため、取引先テーブルにある内容がリストから選択できます。今回はテーブルを関連付けましたが、テーブルを関連付けないリストのフォームも作れます。
2.データ変更
添付されたPDFファイルを取り替えます。操作方法はよくあるスプレッドシートと同じです。PDFファイルの場合は変更したい対象項目にカーソルを持っていと開くアイコンが表示されます。
現行のファイルを削除
新しい別のファイルを添付します。
ファイルの変更なので見かけではわかりづらいですが、更新に成功しました。金額や日付はそのままカラムの値を編集して変更ができます。
3. データ削除
削除したい行を右クリックでメニューが表示されます。「行を削除」で対象行を削除できます。
4.操作履歴
左下の「Team&Settings」をクリックします。
開いたモーダルの左サイドの「監査」をクリックします。
履歴の見方
どのユーザーがどんな操作をいつ行ったかが確認できます。
2.で行った添付ファイル変更の操作履歴
↓の画像内の1で添付されていた「20211028.pdf」が空にされたこと、2で空の状態から「領収書_20220315......pdf」が挿入されたことがわかります。
金額を変更した時の履歴
2.で行った削除の履歴
5. 検索機能
「取引日付」「取引金額」での検索
「取引先」の検索
6.データダウンロード
データはCSV形式でダウンロードできます。
ダウンロードしたCSVファイル
取引年月日,金額,データ,取引先Read,取引先名
2021-11-29,556,20211129.pdf(http://localhost:8080/download/noco/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF/%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF/W8Fi1o.pdf),取引先1,取引先1
2021-10-07,4121,20211007.pdf(http://localhost:8080/download/noco/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF/%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF/guBzLM.pdf),取引先2,取引先2
※↑長いので一部抜粋しました。
添付ファイルは参照用のURLがファイルに書き出されます。URLをブラウザで開くと添付されたデータが参照できます。
類似ツールとの違い
オープンソースの類似ツールBaserowとクラウドサービスのAirtableとの違いをみてみます。
※2022年4月段階での調べ
利用形態
NocoDBはセルフホストで利用できます。クラウドサービスはないため、利用者側で環境を用意しなくてはなりません。環境構築の手間はかかりますが、導入してしまえばツールの利用にはコストはかかりません。また、サービスが突然終了することになっても急に使えなくなるといったリスクもありません。
2022/10/11更新
NocoDBも近日クラウドサービスを展開するようです。以下はNocoDBクラウドサービスについての通知メールアドレス登録用のgoogleフォームです。
NocoDB Cloud ( Private Beta )
Baserowはセルフホストもできますが、クラウドサービスも展開しています。価格は今のところ無料とのことです。基本的にコストはかからないようになっていますが、一部機能制限があり、高度な使い方をしたい方には有料のアーリープレミアムというプランが用意されています。(https://baserow.io/pricing)
Airtableはクラウドサービスです。無料で使いはじめられますが、機能やデータ量などに制限があります。制限を緩和した有料プランがいくつか用意されています。(https://www.airtable.com/pricing)
NocoDB | Baserow | Airtable |
---|---|---|
セルフホストorクラウド(近日公開) | セルフホスト or クラウド | クラウド |
日本語対応
NocoDB | Baserow | Airtable |
---|---|---|
対応 | 非対応 | 非対応 |
ビューの種類
NocoDB | Baserow | Airtable | |
---|---|---|---|
グリッドビュー | 〇 | 〇 | 〇 |
フォームビュー | 〇 | 〇 | 〇 |
ギャラリービュー | 〇 | 〇 | 〇 |
カレンダービュー | △*1 | △*2 | 〇 |
かんばんビュー | △*1 | 〇*3 | 〇 |
タイムライン | × | × | △*4 |
ガント | × | × | △*4 |
*1 近日公開
*2 まもなく公開、ただしアーリープレミアムユーザーのみ
*3 利用はアーリープレミアムユーザーのみ
*4 Proユーザー
レコード数
NocoDBはセルフホストなのでレコード数はホストしたサーバーの容量次第です。
Baserowはセルフホストならサーバーの容量次第です。クラウドサービスも今のところ制限はありません。
Airtableは無料ユーザーだと1200レコード、添付ファイルは2Gまでのようでした。(https://www.airtable.com/pricing)
NocoDB | Baserow | Airtable |
---|---|---|
無制限 | 無制限 | 1200レコード*1 |
*1 無料ユーザーの場合
オートメーション
NocoDBでは、データを挿入した時、更新した時、削除した時にメールやSlack、Discode等へを通知送ることができます。
NocoDB | Baserow | Airtable |
---|---|---|
〇 | × | 〇 |
近日公開機能
- カレンダービューとかんばんビューの追加
- ページカスタマイズ機能
- モバイルアプリ
こちらに日本語で情報があります。
さいごに
NocoDBにはクラウドサービスがなく、ノーコードを始める方にとってはツールの導入が一番の難関なのではないかと思います。
弊社ではご紹介したノーコードの導入支援を承っております。
また、こんなことできるだろうか?現行使っているサービスの代わりになるだろうか?といったこと等も有償で調査いたします。
気になる方はお問い合わせまでご連絡ください。
追記
オープンソースなローコード・ノーコードのサービスをはじめました。
詳細は以下をご覧ください。